こんにちは、池本です。
今年(2024年)も去年に引き続き非常に暑い夏になっていますよね。。。
最近の夏は危険な暑さです。お互い注意して過ごしていきましょう。
今回は、夏の強い日差しに対処するための、駐車場の屋根であるカーポートの解説ですが、
屋根材の熱線カット率を切り口にして解説をしていきます。
カーポートで選択できる屋根材はたくさんありますが、それぞれ
- 強度
- デザイン
- 性能
- 金額
が異なります。
これらの特性を知らずにカーポートを設置してしまうと、思わぬところで後悔してしまう可能性があります。
カーポートをご検討されている方はぜひ最後まで読んでいってください^^
カーポートの必要性について
カーポートは車を守るために駐車場に取り付ける屋根のことですが、主な役割について復習しておきます。
- 雨の日の車の乗り降りが快適になる
- 車を雨・風から守る
- 車を雪や霜から守る
- 車を直射日光から守り、塗装の色あせや車内シートの日焼けを防止
- ファサード空間の印象を決める
このようにたくさんの役割がありますが、今回は4つ目の「直射日光から守る」ことの詳しい解説です。
北側の駐車場は直射日光が少ないと思いますが、特に南側・西側の駐車場の場合は直射日光をモロに浴びる可能性が高いので、参考にしてもらえたらうれしいです。
夏場の直射日光を浴び続けた車に乗り込むと、火傷をするくらい熱いこともあるので、要注意です。
カーポートの屋根材の種類

カーポートは屋根材の材質で大きく3つに分類することができます。
- ポリカーボネート
- スチール折板(ガルバリウム鋼板)
- アルミ
それぞれデザインも性能も全く異なります。
材質の違いによる見た目の印象や耐久性など、それぞれ説明していきます。
ポリカーボネート

最もポピュラーなカーポートで種類も多いのがポリカーボネートです。
20年以上前はアクリル製の商品もありましたが、現在でこのような見た目の商品はほぼポリカーボネートです。
メリットですが、軽量で強度も高く、他の屋根材と比較すると金額も安いので日本全国で広く普及しています。

ポリカーボネートの中に「熱線吸収ポリカーボネート」などの、屋根下の温度が上がりづらくなるカラーもありますが、すべてのカラーで紫外線はほぼ100%カットします。

最近ではブラックポリカ(ブラックマット)のカラーが新しく発売し、デザイン面と高い熱線カット率の選択肢が増えて注目されています。
※発売直後の話ですが、注文が入りすぎて納期が通常の5倍くらいかかっています。
デメリットですが、台風などの強い風が当たるとポリカーボネートが外れてしまうことがあります。
各カーポートには基準風速V0という値が設定されていて、それよりも強い風が吹くとポリカが外れるなどの何らかの不具合が生じる可能性があります。
また、ポリカーボネートのもう一つのデメリットとして、劣化すると色が薄くなってくることがあります。
設置環境によって劣化の進み具合は異なりますが、経年劣化として色が変わってくることは頭に入れておく必要はあります。
そのため、台風などでポリカが1枚飛ばされた際、新しいポリカに交換した部分は色が変わってしまうことになります。
耐風圧強度も上がっているのでそう簡単に外れてしまうものではありませんが、デメリットの1つではあります。
スチール折板

最強の強度を持っているのがスチール折板の屋根材です。ガルバリウム鋼板と呼ばれることもあります。
積雪地域で多く採用されることが多いので「折板カーポートは積雪用」と認識されている方もいるかもしれませんが、九州から北海道まで様々な地域で採用されているロングセラー商品です。
メリットは、雪に強いだけではなくて、風にも強いので台風が多い地域でも人気があります。
太陽光発電を載せられるケースもあります。最近は電気代が高騰しているのでお問い合わせも増えました。
強度が高くて価格も抑えたい。このような要望に応えてくれるのが折板カーポートです。ポリカーボネートのカーポートよりは金額は上がりますが、例えば耐積雪強度50cmなどの同強度で比較すると、折板カーポートの方が安くなるケースも多いです。
また、強度が高いということはその分長持ちする可能性が高いです。
実際、ポリカのカーポートが古くなって撤去して新設することは何度も対応してきましたが、折板カーポートの建て替えは記憶にありません。
デメリットは、スチール折板はスチールなので、コーティングの中身は鉄です。
そのため、錆びるというデメリットがあります。
錆びないようにコーティングされているものの、海の近くには設置しないほうが良いと思います。
アルミ

LIXILさんが2017年に発売したカーポートSC。
これが「アルミ屋根のカーポートはスタイリッシュでかっこいい!」ということで大人気商品になりました。
メリットとしては、まずはデザイン性ですね。
これまではカーポートの本体(骨組み)と屋根材は材質が異なるので一体感がありませんでしたが、カーポートSCのデザインはスッキリ一体感があります。
ツートンカラーや天井を木目調にすることもできるので、さらに高級感をアップさせることができます。
また、強度が高いこともメリットの一つ。
ポリカーボネートのように挟んで固定しているいるわけではなく、ボルトでしっかり固定されているので、強風で屋根が外れるような構造にはなっていません。
これまでたくさん工事をしてきましたが、風で不具合が起きたという連絡は当社工事でゼロです。
デメリットは、金額が高いことですね。。。
一般的なポリカーボネートのカーポートと比較すると2~3倍の金額になってしまいます。
デザインや強度が全く異なるので単純な金額比較にはなりませんが、設置費用の大きな違いは把握しておく必要があります。
熱線(赤外線)カット率の比較
ここまで説明してきましたポリカーボネート、スチール折板、アルミの屋根材の熱線カット率の比較をしていきます。
スチール折板とアルミに関しては完全に日陰になるので、熱線カット率は100%です。
ポリカーボネートはカラーによって熱線カット率が異なるので、比較していきます。
熱線カット率1位
- スチール折板
- アルミ(カーポートSC)
やはり金属屋根の2種類は、日光を全く通さず完全に日陰になるので1位です。
今回は熱線カットという切り口で解説をしていますが、完全な日陰になることで逆に
- 屋根下が暗い
- 窓からの日差しが入らなくなった
などのデメリットにもなり得るので、設置場所や使用用途を明確にしておく必要はあると思います。
この2点のデメリットに関しての個人的な見解ですが、カーポートは柱と屋根だけが基本ですので、屋根下が完全に日陰になっても「暗い」という印象は受けなかったです。周りが明るいので。
住宅の窓からの日差しが入らないことについては、住宅のそばにカーポートを設置する場合は注意が必要だと思います。季節によって日光の角度も変わることにもご注意を。
熱線カット率2位

一般ポリカ(ブラックマット)
いわゆるブラックポリカ。2024年に新しく発売されて、人気急上昇中のカラーです。
全光線透過率0%で光は通しません。
熱線カット率72%とポリカーボネートの中ではダントツ1位の熱線カット率です。
値段もポリカの中では一番高い設定になっています。
ご注意点は、すべてのカーポートに設定があるというわけではなく
- ネスカF
- フーゴF
- ソルディーポート
これらのみブラックポリカに対応しています。
熱線カット率3位

熱線吸収ポリカ(ブルーマットS)
全光線透過率17%なので、ブラックポリカほどではないですが屋根下は結構暗い印象になります。
熱線カット率は52%。ブラックポリカが発売されるまではこのブルーマットSが最も熱線をカットするカラーでした。
濃い青とか紫っぽい、という表現が合うと思います。
マット調なのですりガラスのように向こう側が見えません。
熱線カット率4位

- 一般ポリカ(クリアブルー)熱線カット率37%
- 熱線吸収ポリカ(クリアマットS)熱線カット率36%
- 一般ポリカ(クリアブラウン)熱線カット率34%
数パーセントの差はありますが、この3つをまとめて4位として挙げます。
注目してほしいのは1つ目のクリアブルーは一般ポリカなのに、2つ目の熱線吸収ポリカ(クリアマットS)よりも熱線カット率が高いということです。
これは理由があります。
次に紹介する一般ポリカのクリアマットですが、今回紹介した中では最も熱線を通すカラーで、そのカラーをベースに熱線カット率をUPさせたのが熱線吸収ポリカ(クリアマットS)です。
そのため、もともと熱線カット率が低いクリアマットに熱線カット効果を加えているので、クリアマットと比較すると熱線カット率は上がっているものの、一般ポリカと同等のカット率、ということになっています。
一般ポリカのクリアマットと比較すると、若干青みがかっているので全くの同色ではないことにも注意が必要です。
熱線カット率5位

一般ポリカ(クリアマット)
最も明るい屋根材ですが、その分、他のカラーと比較すると熱線カット率も最も低い数値になっています。
明るさを表す全光線透過率は83%。
熱線カット率は20%。
ただ、熱線を20%はカットしてくれるので、ないとあるとでは全く異なります。
私の体感としても直射日光が当たらないだけでもかなり効果はあるな、と感じました。
紫外線はすべてのカラーでほぼ100%カットします。
金額の比較
それではそれぞれの屋根材で金額に比較をしていきましょう。
アルミ・スチール折板・ポリカのカーポートはそれぞれデザインや性能がすべて異なります。
単純に「屋根材違いの金額比較」と考えるとポリカのカーポートのみカラー違いで比較可能ということになります。
その点、ご注意ください。
今回は以下の条件で金額を比較していきます。
- 1台用カーポート
- 横幅約2.7m×奥行約5.0m×高さ約2.5m
- 商品代の定価(オプション等なし)
- 2024年8月現在の金額
それでは金額の高い順に並べていきます!
- アルミ:カーポートSC:約56万円(耐積雪20cm・耐風圧40m/s)
- スチール折板:カーポートSW900:約46万円(耐積雪30cm・耐風圧46m/s)
- ブラックポリカ:ネスカF:約33.5万円(耐積雪20cm・耐風圧36m/s)
- 熱線吸収ポリカ:ネスカF:約29.8万円(耐積雪20cm・耐風圧36m/s)
- 一般ポリカ:ネスカF:約28.9万円(耐積雪20cm・耐風圧36m/s)
やはりアルミ屋根のカーポートSCがダントツで金額が高い結果になりました。
スチール折板のカーポートSWに関しては両支持タイプの柱4本で、サイズも横幅3.0m×奥行き5.5mと他のカーポートよりも少し大きい条件になっています。
ポリカに関してはネスカFで統一して金額を算出しています。3,4,5は本体は同じで屋根材のポリカのカラーだけが違うという比較になっています。一般ポリカと熱線吸収ポリカの差は小さいですが、ブラックポリカは少し差がありますよね。
カーポートの熱線カット率:まとめ
今回はカーポートの熱線カット率を切り口に屋根材の種類を解説をしてきました。
まとめとして熱線カット率が高い順番に並べてみます。
- アルミ:完全に日陰
- スチール折板(ガルバリウム鋼板):完全に日陰
- 一般ポリカ(ブラックマット)※通称ブラックポリカ:熱線カット率72%
- 熱線吸収ポリカ(ブルーマットS):熱線カット率52%
- 一般ポリカ(クリアブルー):熱線カット率37%
- 熱線吸収ポリカ(クリアマットS):熱線カット率36%
- 一般ポリカ(クリアブラウン):熱線カット率:34%
- 一般ポリカ(クリアマット):熱線カット率:20%
表示上、1がアルミで2がスチール折板になっていますが、金属屋根ですのでここでは同じランクとしています。
今回の解説を全体的にまとめますと以下のとおりです。
- カーポートは車を守るための屋根である
- 雨や風から車を守る
- 雪や霜から車を守る
- 直射日光から車を守る
- ポリカーボネート、スチール折板、アルミの屋根材がある
- ポリカーボネートは軽量で強度が高い
- スチール折板は強度が最も高く、積雪地域に適している
- アルミ屋根はデザイン性が高い
- スチール折板とアルミは完全に日陰を作る
- ポリカーボネートの熱線カット率はカラーによって異なる
- ブラックポリカは熱線カット率72%
- ブルーマットSは熱線カット率52%
- 一般ポリカ(クリアブルー)は熱線カット率37%
- アルミ屋根のカーポートが最も高額
- カーポートの屋根材によって設置場所の適性が異なる
- 紫外線はすべてのポリカーボネートでほぼ100%カットできる
- ポリカーボネートは経年劣化で色が薄くなることがある
- スチール折板は錆びる可能性がある
- ポリカーボネートのカーポートは台風で屋根が外れる可能性がある
ご質問等ありましたらお気軽にお問い合わせください!
コメント
コメント一覧 (2件)
Twitterでブラックポリカは熱吸収が多くそれによって弱くなるというポストがありました。
本当なのでしょうか?
業界でそういう話は出ていますでしょうか?
まだ発売したばかりで想像での話になりますが、その可能性はあると思います。
以下の記事でデメリットとして説明をしていました。
https://carport.koken-network.jp/pro/black/
設置条件によって変わるという前提はありますが、懸念点の一つではあります。