「また週末、この重たい雪と格闘か…」と、うんざりしていませんか?
朝、車に積もった雪を下ろす時間でバタバタしたり、「この雪の重みで、うちのカーポートは本当に大丈夫なんだろうか…」と、ふと不安になったり。雪国での暮らしには、そんな悩みがつきものですよね。通勤前のわずかな時間も、休日の貴重な時間も、雪かきに追われるのは本当に大変なことです。
こんにちは、エクステリア専門工事会社コウケンNETカーポート専門館の代表、池本です。この道に入って約20年、雪国にお住まいのたくさんのお客様から、同じようなお悩みや不安の声を伺ってきました。
私たちの仕事は、単にカーポートという商品を設置して終わり、ではありません。むしろ、工事が完了してからが、お客様との本当のお付き合いの始まりだと考えています。だからこそ、目先の価格の安さだけで、安全や品質を犠牲にするようなご提案は決していたしません。私たちがご提供したいのは、商品そのものではなく、「この先10年、20年と続く、長期的な安心感」だからです。
この記事では、雪国でカーポートを選ぶ際に、あなたが後悔しないための大切な知識を、私の経験を交えながら、できるだけ分かりやすくお伝えしていきます。少し長くなりますが、きっとあなたのカーポート選びの一助となるはずです。どうぞ、最後までお付き合いください。
雪国カーポート選びは「強度」がすべて。お住まいの地域に最適なLIXILの耐積雪性能とは
「雪国用カーポート」と一言で言っても、実はその性能は様々です。「うちは雪国だから、一番強いものを選べばいい」と考えるのは、少し早いかもしれません。なぜなら、お住まいの地域によって降る雪の量や質は大きく異なり、それによって最適な選択肢も変わってくるからです。まずは、カーポート選びの最も基本的な物差しである「強度」について、一緒に見ていきましょう。
まずは基本の「耐積雪強度50cm」を知ることから

カーポートのカタログを見ると、「1500タイプ」や「3000タイプ」といった数字が目に入ります。これはLIXIL製品の場合、耐積雪強度を示す重要な指標で、「1500タイプ」であれば耐積雪強度50cm相当を意味します。
この耐積雪強度50cmというのが、雪国でカーポートを検討する際の、ひとつの基準点になります。もちろん、より積雪の多い地域ではさらに高い強度が求められますが、この50cmタイプは、比較的積雪が穏やかな雪国や、「年に数回、ドカ雪が降るから備えておきたい」という一般地域でも選ばれることのある、汎用性の高い強度です。
最も重要な注意点:「積雪量」と「雪の重さ」は全くの別物です
ここで、私が20年の経験で最も重要だと感じている点をお伝えします。それは、カタログに書かれている「耐積雪〇〇cm」という数値を、そのまま鵜呑みにしてはいけない、ということです。
なぜなら、この数値は基本的に、降り積もったばかりのフワフワの「新雪」を基準に計算されているからです。新雪の比重(水の重さを1とした時の重さの比率)は、およそ0.3程度とされています。
しかし、一度降った雪が時間とともに雨水を含んだり、自らの重みで圧縮されたりすると、「しまり雪」や「ざらめ雪」と呼ばれる、重たい雪に変化します。この状態の雪は、比重が0.5や0.7、時にはそれ以上になることもあり、新雪の2倍から3倍以上の重さになることも珍しくありません。
つまり、どういうことか。耐積雪強度50cmのカーポートでも、重たい湿った雪であれば、わずか20cm程度の積雪で、設計上の限界に近い負荷がかかってしまう可能性があるのです。これが、カーポート倒壊事故の多くが、見た目の積雪量以上に重たい雪が降った時に起こる理由です。
ですから、本当の安心を手に入れるためには、気象庁が発表しているお住まいの地域の最大積雪量のデータを参考にしつつも、それよりも一段階、二段階上の強度を持つカーポートを選ぶという「余裕」を持つことが、何よりも大切なのです。
LIXILの雪国カーポート・強度別ラインナップ一覧

では、具体的にLIXILにはどのような強度のカーポートがあるのでしょうか。雪国で主に検討されるのは、耐積雪強度50cmから、業界最高クラスの200cmまでのモデルです。それぞれの強度で選べる主なシリーズを下の表にまとめました。この後の章で各シリーズの詳しい特徴をご説明しますので、まずは全体像を掴むための地図だと思ってご覧ください。
耐積雪強度 | 主なシリーズ | 屋根材 | こんな方におすすめ |
50cm (1500タイプ) | カーポートSW, フーゴR, ソルディーポート, カーポートSC | スチール折板, ポリカ, アルミ | 「雪への備えはしたいが、デザインや明るさも重視したい」 |
100cm (3000タイプ) | カーポートST, ソルディーポート, カーポートSC | スチール折板, ポリカ, アルミ | 「本格的な積雪地域で、強度とデザイン・明るさを両立させたい」 |
150cm (4500タイプ) | カーポートST, ソルディーポート | スチール折板, ポリカ | 「札幌市周辺など、かなりの積雪量に備える必要がある豪雪地域」 |
200cm (6000タイプ) | カーポートST | スチール折板 | 「業界最高レベルの強度を求め、雪下ろしの負担を極限まで減らしたい」 |
忘れてはいけない「凍上対策」- 見えない基礎こそが、カーポートの寿命を決めます
最後に、強度と同じくらい、いや、それ以上に重要な「基礎工事」についてお話しさせてください。特に雪国で注意しなければならないのが、「凍上(とうじょう)」という現象です。
これは、冬の厳しい寒さで地面の中の水分が凍り、その体積が膨張することで地面をじわじわと持ち上げてしまう現象です。この力がカーポートの柱の基礎部分に加わると、柱が傾いたり、最悪の場合、基礎が破壊されてカーポート全体が歪んでしまう原因になります。
これを防ぐためには、カーポートの柱を支える基礎を、その地域の凍結深度(地面が凍る深さ)よりも深く、そして頑丈に作ることが絶対に不可欠です。この基礎工事は、一度コンクリートを流し込んでしまえば外からは見えなくなります。だからこそ、施工業者の知識と経験、そして誠実さが問われる部分なのです。
私たちコウケンNETが「長期的な安心感」を何よりも大切にするのは、こうした見えない部分へのこだわりこそが、10年後、20年後のお客様の安全と快適な暮らしを支える、と信じているからです。
デザインか、明るさか、絶対的な強度か。あなたの暮らしに寄り添う雪国カーポートの選び方
カーポートに求められる「強度」についてご理解いただけたところで、次はお客様一人ひとりの「暮らし」に焦点を当てて、最適なモデルを選んでいきましょう。
カーポートをどこに建てますか?リビングの大きな窓の前でしょうか、それとも建物の北側でしょうか。駐車スペースの明るさを重視しますか?それとも、住宅との一体感を演出するデザイン性を求めますか?
ここでは、LIXILの雪国対応カーポートを「強度」「明るさ」「デザイン」という3つの軸で分類し、それぞれのメリット・デメリットを正直にお伝えします。
【強度最優先】ならスチール折板屋根の「カーポートST」と「SW」
「何よりもまず、雪や風に対する絶対的な安心感が欲しい」。そうお考えの方に、私たちがまずお勧めするのが、屋根材に「スチール折板(せっぱん)」という頑丈な鋼板を使ったシリーズです。LIXILでは「カーポートST」と「カーポートSW」がこれにあたります。


このスチール折板屋根の最大の特長は、その圧倒的な強度。耐風圧強度は業界最高水準の46m/秒相当を誇り、近年大型化する台風にもしっかりと耐えうる設計です。
- カーポートST:まさに「最強」の名にふさわしい、LIXILの豪雪地域向けフラッグシップモデルです。耐積雪強度は100cm、150cm、そして最大200cmまでラインナップされており、日本有数の豪雪地帯でも安心してご使用いただけます。特に札幌市周辺のお客様からは、150cmタイプが絶大な支持を得ています。単に雪の重さに耐えるだけでなく、雪が積もった状態が長く続く「長期荷重」にも配慮した設計のため、頻繁な雪下ろしの負担を大きく軽減してくれるのが魅力です 。
- カーポートSW:耐積雪強度50cmを基本とする、高強度モデルです。STほどの豪雪地帯ではないけれど、冬にはしっかりと雪が積もり、台風への備えも万全にしておきたい、という地域に最適な、強度とコストのバランスに優れた選択肢と言えるでしょう。
【正直にお伝えする注意点】
これほど頼もしいスチール折板カーポートですが、良いことばかりではありません。ご契約いただく前には、必ずデメリットもお伝えしています。
- 暗さ:スチール製の屋根は太陽の光をほぼ完全にシャットアウトします。そのため、屋根の下は日中でも完全に日陰になります。もし、リビングの掃き出し窓の前など、採光が重要な場所に設置を検討されている場合は、お部屋の中が暗くなってしまう可能性も考慮し、慎重に判断する必要があります。
- 結露:金属屋根のもう一つの特性として、冬の朝方に「結露」が発生しやすい点が挙げられます。これは「放射冷却」という現象で、晴れた夜に屋根の熱が宇宙空間に奪われ、表面が外気より冷たくなることで空気中の水分が水滴となって付着するものです。この結露水が、ポタポタと愛車の上に落ちてしまうことがあります。対策として、屋根の裏側に「ペフ」というスポンジ状の断熱材を貼り付けるオプションもありますが、このペフ自体も5年~10年ほどで経年劣化するという点は、知っておいていただきたいポイントです。
- 雨音:ポリカーボネート屋根に比べると、強い雨が降った際に屋根に当たる音が少し大きく感じられる場合があります。
【明るさ優先】ならポリカ屋根の「ソルディーポート」
「雪への強度は欲しいけど、カーポートの下が暗くなるのは絶対に嫌だ」。そんなご要望に完璧に応えてくれるのが、ポリカーボネート屋根材を採用した高強度カーポート「ソルディーポート」です。

ソルディーポート最大のメリットは、何と言ってもその採光性です。屋根材が光を通すため、カースペースが暗くならず、開放的な空間を保つことができます。リビングの前にカーポートを設置しても室内が暗くなりにくいため、「駐車スペースと庭を兼用したい」「明るい場所でDIYや子供の遊び場としても使いたい」といった方に最適なモデルです。
もちろん、強度も申し分ありません。柱を両側に配置する頑丈な両支持タイプの構造で、耐積雪強度は50cm、100cm、150cmと、本格的な積雪地域にも対応できるラインナップが揃っています。
【正直にお伝えする注意点】
明るさと強度を両立したソルディーポートですが、やはり万能ではありません。同じ耐積雪強度でスチール折板のカーポートSTと比較した場合、価格は高くなる傾向にあります。また、高い強度を確保するための構造上、モデルによっては柱の本数が多くなる場合があります。例えば、耐積雪150cmの2台用タイプでは、柱が8本必要になる仕様です。駐車のしやすさや動線も考慮して検討することが大切です。
【デザイン最優先】なら究極の美観「カーポートSC」
「カーポートも、住まいの一部としてデザインに徹底的にこだわりたい」。そんな美意識の高いお客様から絶大な支持を集めているのが、LIXILの「カーポートSC」です。

グッドデザイン賞をはじめとする数々のデザインアワードを受賞したその姿は、従来のカーポートのイメージを覆すものです。屋根と柱を一体化させ、雨樋を内部に収めることで、ネジやボルトといった要素を徹底的に排除した「ノイズレス」なデザインは、まるで住宅と一体化した建築作品のような佇まいを見せてくれます。
そして、最近このカーポートSCに、大きな進化がありました。特に注目していただきたいのが、耐積雪50cmの2台用(SC1500)です。従来モデルは強度を確保するために6本の柱が必要でしたが、2025年からの新モデルでは、技術の進歩によりわずか4本柱で同等の強度を実現しました 。これにより、これまで車のドアを開ける際に少し気になっていた中央部分の柱がなくなったのです。これは、日々の乗り降りのしやすさを劇的に向上させる、本当に大きな改良点と言えるでしょう。
さらに嬉しいニュースとして、これまでデザイン性の高いカーポートを諦めていた豪雪地域の方々のために、待望の耐積雪100cmタイプ「カーポートSC 3000」が新たに登場しました。これにより、デザイン、使い勝手、そして強度のすべてを高いレベルで満たす選択肢が、より多くの地域で可能になったのです。
【正直にお伝えする注意点】
- 価格:これだけ優れたデザイン性と品質を誇るため、やはり価格はLIXILのカーポートラインナップの中でも最高クラスに位置します。長く使うものだからこそ価値ある投資だと言えますが、ご予算とのバランスをじっくりと考える必要があります。
- 暗さと結露:屋根材はマットな質感のアルミ製です。スチール折板と同様に光を通さないため、屋根の下は日陰になります。また、金属であるため冬場には結露が発生する可能性もあります。デザインを取るか、明るさを取るか、ここは大きな判断の分かれ道になります。
実際に、先日札幌市でカーポートSTの150cmタイプを設置させていただいたM様からも、『これでもう吹雪の夜も安心して眠れます。4本柱タイプは車の出し入れもしやすくて、本当に快適です』という嬉しいお声をいただきました。こうした一言が、私たちの何よりの励みになります。
最後のチェックポイント:雪の落ちる方向とオプション
最適なカーポートのシリーズが見えてきたら、最後にいくつかチェックしておきたいポイントがあります。
- 雪の落ちる方向:カーポートの屋根に積もった雪は、やがて滑り落ちます。その雪が、お隣の敷地に落ちてしまわないか、という配慮はとても大切です。敷地の境界や建物の配置を考え、適切な屋根の勾配や設置場所を選ぶ必要があります。
- サイドパネル:横殴りの雪や雨の吹き込みを防ぐのに、絶大な効果を発揮するのが「サイドパネル」です。カーポートの中に雪が吹き込んで、結局雪かきが必要になってしまった…という事態を防ぎ、日々の手間を大きく減らしてくれます。目隠しとしての役割も兼ねるため、プライバシーを確保したい方にもおすすめです。後付けも可能で、費用の目安は15万円~20万円程度です。(サイズや素材により変動します)
- 照明:夜間の車の乗り降りや、暗い中での作業の安全性を高めるために、照明の設置もぜひ検討してみてください。特に人感センサー付きのライトは、車が近づくと自動で点灯してくれるため非常に便利で、防犯効果も期待できます。
長く続く安心のために、私たちができること
ここまで、雪国のカーポート選びについて、様々な角度からお話ししてきました。
雪国のカーポート選びは、単にカタログの数字を見るだけでなく、ご自身の住む地域の雪の「質」を理解し、ご自宅の立地や暮らし方に合わせて「強度」「明るさ」「デザイン」のバランスを考えることが何よりも大切です。そして、そのカーポートが持つ性能を100%引き出し、長きにわたって安全を保つためには、見えない部分である「確実な基礎工事」が絶対に欠かせません。
私たちは、建てて終わり、ではありません。設置してからが、お客様との本当のお付き合いの始まりです。10年後、20年後も「コウケンNETカーポート専門館に頼んで本当に良かった」と心から思っていただけるように、私たちは目に見えない部分の品質にも、決して妥協はしません。
この記事を読んで、ご自身のカーポート選びについて、新たな疑問や具体的な相談事が生まれたかもしれません。どんな小さなことでも構いません。「うちの敷地だと、どのモデルが一番いいんだろう?」「実際のところ、総額はいくらくらいになるの?」そんな率直な疑問を、ぜひ私たち専門家にお聞かせください。
あなたとご家族にとって最高の選択を、一緒に見つけさせていただければ、これほど嬉しいことはありません。お気軽にご連絡ください。
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